長谷川祐子氏が国際文化会館アート・デザイン分野のアドバイザーに就任

~地経学・イノベーションと芸術の重なりから生まれる 画期的な知的対話・文化交流の場へ~

公益財団法人国際文化会館(東京都港区、理事長:近藤正晃ジェームス、以下、国際文化会館)は、プログラム部門のアート・デザイン分野のアドバイザーに、日本を代表する世界的なキュレーターで、現在、金沢21世紀美術館館長を務める、長谷川祐子氏が就任したことをお知らせします。

写真:長谷川祐子

国際文化会館は、これまで、日米芸術家交換プログラム、IHJアーティスト・フォーラム、Architalk~建築を通して世界をみる、アジール・フロッタン復活事業、都市のグローバルシステム比較研究、また古くはヴァルター・グロピウスの招へい、日本美術館英文案内書の発刊など、数々の芸術プログラムを実施して参りました。

世界はいま、大国間対立、パンデミック、ロシアのウクライナ侵略、生成AIの急速な発展、気候変動、ダイバーシティ・インクルージョンの推進など、様々な課題に直面しています。日本は、そして世界は、この課題山積の現代社会において、どのように、多様な世界との知的対話・文化交流を推進できるのでしょうか。またどのように次世代を育成し、「自由で、開かれた、持続可能な未来をつくる」ことができるのでしょうか。そして、アート・デザインはそのような未来への支度にどう貢献できるでしょう。

国際文化会館は、2022年7月の一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブとの統合を経て、ミッションを「多様な世界との知的対話、政策研究、文化交流を促進し、自由で、開かれた、持続可能な未来をつくることに貢献する。」と再定義しました。その実現に向け、国際文化会館の、モダニズム建築の傑作と称される建物、歴史ある日本庭園(港区名勝)、施設、会員組織、地経学やイノベーション、サステイナビリティといったプログラムと、アート・デザイン(建築を含む)の力を融合し、人が集まる国際文化会館を舞台に、「自由で、開かれた、持続可能な未来をつくる」ための、新しい可能性を探求したいと考えています。国際文化会館の新たな取り組みに、ご期待ください。

長谷川祐子氏ご挨拶

政治経済社会のエコロジーを支えるのは一人一人の人間であり、移動や職業・プロジェクトの自由など近代がもたらした条件を基本に活動を展開してきました。他者を理解し、ともにあるために他者を受け入れることはまず愛することの自由を確保することから始まります。

資本主義の最適化の法則にのっとり、どんどん画一化される社会において、つながり、共感することの喜びをもたらすアートは、理論を超えた言語であり、五感と身体を通したコミュニケーションを可能にします。現代においてアートや建築の役割はますます重要になってきており、その媒介者であり関係を形成するキュレーターの役割も同様です。

アートと建築のプログラムは、現在の問題に対してオルターナテイヴを提案する創造性、人種やジェンダー、貧富の差を超えてこれを包摂する多様性、視覚中心の現代において有効なコミュニケーションツールとして、国際文化会館におけるすべてのプログラムと関係を形成していきます。

長谷川祐子氏プロフィール
(金沢21世紀美術館 館長 / 東京藝術大学名誉教授 / 総合地球環境学研究所客員教授)

キュレーター/美術批評。京都大学法学部卒業。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。水戸芸術館学芸員、ホイットニー美術館客員キュレーター、世田谷美術館学芸員、金沢21世紀美術館学芸課長及び芸術監督、東京都現代美術館学芸課長及び参事を経て、2021年4月から現職。ヴェネツィア大学客員教授(2023年)。犬島「家プロジェクト」アーティスティック・ディレクター。文化庁長官表彰(2020年)、フランス芸術文化勲章(2015年)、ブラジル文化勲章(2017年)を受賞。