国際文化会館では、様々な分断を乗り越え、協力的な社会を作り直すためにその知見をあますところなく発揮し、積極的な活動を行っているインド太平洋地域のリーダーをスピーカーに迎えたウェビナーシリーズ「インド太平洋リーダーシリーズ」を展開しています。
ウクライナやガザでの紛争や米中関係の緊迫など、世界中で国家やイデオロギー間の対立が顕在化し、各地でより深い分断化リスクが高まっています。紛争により食糧やエネルギー危機が生じ、政治経済はもちろん人権、難民、貧困などの問題も深刻化します。分断を超え、平和と安定を維持するためには?
2024年度は、インドネシア二大イスラム組織の一つであるナフダトゥール・ウラマ(NU)に所属する知識人やフィリピンのイスラム武装組織との和平交渉を務めた女性の平和活動家を迎え、アジア圏におけるイスラムの理解を食および女性の視点で深めます。
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主催:国際文化会館
助成:一般財団法人MRAハウス
PICK UP
【インド太平洋リーダーシリーズ 2024】
ハラルとは?:ハラル食を通して現代イスラムを考える
配信映像
- スピーカー: アヤン・ウトリッツァ・ヤキン(ルーヴァン・カトリック大学客員講師/ナフダトゥール・ウラマ ベルギー支部)
- モデレーター: 水野孝昭(神田外国語大学教授)
- 配信開始日: 2024年2月29日
- 用語: 英語(日本語字幕付き)
- 主催:国際文化会館
- 助成: 一般財団法人MRAハウス
現在のガザ地区での紛争をはじめ、宗教や民族の違いによる対立は長期化する今日、いま改めて違いに対する寛容さや相互理解の重要性が問われていると言えます。 コロナ渦以降、2023年はインバウンド数が2000万人を超え、今後観光客だけでなく海外からの移住者も増えると予想されている日本。多文化・多宗教の理解の促進は他人事ではない重要な課題であり、特にアイデンティティと密接につながる食への理解は大きなポイントと思われます。平和構築の観点からだけでなく、世界のイスラム教徒の飲食への支出は2027年には1兆8900ドルを超える巨大な市場となる予想でビジネスの観点からも「ハラル」について考えるのは時宜にかなっているのではないでしょうか。 本セッションでは、インドネシアの最大のイスラム系組織であるナフダトゥール・ウラマ(NU)に所属するアヤン・ヤキン氏をスピーカーに迎え、「ハラル」という概念とその時代の変化や、インドネシアのようにイスラム教徒がマジョリティの文脈と日本のようにマイノリティの文脈でどのように異なるのかなどご説明いただき、現代におけるイスラムに対する理解を深めます。
アヤン・ウトリッツァ・ヤキン(ルーヴァン・カトリック大学客員講師/ナフダトゥール・ウラマ ベルギー支部)
国立イスラム大学(UIN)ジャカルタ校卒業。イスラム法専攻。カイロのアル=アズハル大学でイスラム法を学び、パリの社会科学高等研究院(EHESS)で史学と文献学の修士課程および博士課程を修了。オックスフォード大学イスラム研究センター(OCIS)客員研究フェロー(2012年春)、ハーバード大学法科大学院イスラム法研究プログラム(ILSP) 客員フェロー(2013年春)。UINジャカルタ校 イスラム社会研究センター(PPIM)の Saiful Mujaniリサーチフェローを経て、現職。教鞭を執るかたわら、イスラム法、アダット(慣習法)、法制史、イスラム文献学、イスラム史、インドネシアにおけるイスラムとムスリムコミュニティに関する様々なテーマについて研究を行う。また、インドネシア最大のイスラム系組織であるナフダトゥール・ウラマのベルギー支部の幹部も務めている。氏は2016年に会館と国際交流基金の共催で行われたALFPのフェローとして来日している
ジャーナリズム論・国際コミュニケーション専攻。
元朝日新聞論説委員、同ハノイ支局長、ワシントン特派員、ニューヨーク支局長を歴任。
東京大学卒、ジョンズホプキンス大学修士。共著に『ベトナム戦争の戦後』など。
【インド太平洋リーダーシリーズ 2024】
第2回「和平交渉を担う女性たち:ミンダナオ紛争からの学び」
配信映像
- スピーカー: ミリアム・コロネル・フェレール(平和活動家・元フィリピン政府和平交渉団議長)
- モデレーター: 石井正子(立教大学教授)
- 配信開始日: 2024年3月29日
- 用語: 英語(日本語字幕付き)
- 主催:国際文化会館
- 助成: 一般財団法人MRAハウス
第2回目は、フィリピンのミンダナオ地域のイスラム武装組織との和平交渉の団長を務めた女性の平和活動家を迎え、和平交渉における女性の役割の重要性について考えます。現在のガザ地区での紛争やウクライナでの戦争の長期化などから平和構築や交渉の難しさがわかります。長く続いたフィリピンでの内戦の和平交渉の陣頭指揮をとり、和平に導いたミリアム・フェレーラ氏に当時の交渉の難しさや女性が交渉パネルに入ることの重要性などについて語っていただきました。
ミリアム・コロネル・フェレール(平和活動家・元フィリピン政府和平交渉団議長)
2014年にフィリピン政府がモロ・イスラム解放戦線(MILF)と合意に達し、史上初の女性首席交渉官として最終和平協定に署名した。彼女は2010年にベニグノ・アキノ3世大統領によって政府の交渉チームに任命され、2012年に議長に就任した。コロネル・フェレールは他の女性平和構築者たちとともに、フィリピン初の「女性、平和、安全保障に関する国家行動計画」の起草に着手し、最終的に国連安全保障理事会決議1325へのコミットメントの一環として2010年に政府によって採択された。2014年にはフィリピン政府とMILFがバンサモロに関する包括的合意(CAB)に署名した。2020年、コロネル・フェレールは、ミャンマーやアフガニスタンなどの国々で、対話のための安全な場の招集や調停イニシアティブの支援に携わる女性たちの先駆的グループ「東南アジア女性平和調停者」を共同設立した。
立教大学異文化コミュニケーション学部教授。
専門:フィリピン研究、紛争研究。
主著=『女性が語るフィリピンのムスリム社会――紛争・開発・社会的変容』(明石書店、 2002年)。共著=『現場<フィールド>からの平和構築論』(勁草書房、2013年)、『地域・草の根から生まれる平和』(早稲田大学出版部、 2015年)。『甘いバナナの厳しい現実』(コモンズ、2020年 編著)
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第三期(2023年1〜3月)
【インド太平洋リーダーシリーズ 2023】 子どもへの虐待や暴力を減らす小児科医の挑戦: 子どもが安心できる場をつくるには? | |||
【インド太平洋リーダーシリーズ 2023】 アジアの若手環境活動家の声:世界を変える一歩とその可能性 | |||
【インド太平洋リーダーシリーズ 2023】 新型コロナ対応 マレーシアの経験 |
第二期(2022年1〜3月)
第一期(2021年1〜3月)
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