2010年度IHJ芸術プログラム アートプログラム・コンサート

■伝統文化シリーズ⑩
聲明―声の知恵:「声明の会・千年の聲」による二箇法要

  • 2011年3月25日(金) 7:00 pm 岩崎小彌太記念ホール
  • 出演: 「声明の会・千年の聲」新井 弘順、ほか真言宗僧侶
  • 会費: 3,500円(割引料金*:3,000円)*割引料金は国際文化会館会員の方と学生に適用されます。*要予約
  • 用語: 日本語/英語

聲明とは、日本の仏教寺院で僧侶が儀式の際に唱える合唱です。インドから6世紀頃に日本に入り、平安時代以降、各宗派ごとに独自の発展を遂げました。1200年の伝統を現在に引き継ぐ声は、西洋のグレゴリオ聖歌とともに世界で最も古いといわれ、日本古来の発声法にも大きな影響を与えてきました。

IHJ伝統文化シリーズ最後のコンサートとなる今回は、聲明の継承・普及に努める僧侶たちによる「声明の会・千年の聲」が、寺院以外では滅多に聴けない真言宗の二箇法要を唱えます。日常の喧騒から離れ、深遠なる精神の深みへと聴く者を導く、荘厳な声の「知恵」をご体験下さい。

■IHJアーティスト・フォーラム■
『出現五十三次 』ダンス・ビデオ・写真のコラボレーション
アイザック・イマニュエル

  • 2010年12月9日(木)7:00 pm 国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
  • 出演: 可世木祐子(パフォーマンス)、谷口正明(パフォーマンス、ヴォイス)、桂 勘(ビデオパフォーマンス)、石出卓也(ビデオパフォーマンス)、神村恵(ビデオパフォーマンス)、 アイザック・イマニュエル (パフォーマンス、ビデオ、写真) + ゲスト
  • 入場: 無料(要予約)
  • 言語: 日本語/英語
  • 共催: 日米友好基金

見ることと場の曖昧な目印の間に層をつくりながら、『出現五十三次』はイメージや振付された絵画、即興のスケッチ帳を繰り広げる。そして東海道線の東京-京都間で降りたった様々な場所での観察や関わり合い、さまよった体験などが、一つのまとまった地図となる。この作品は「日米芸術家交換プログラム」で来日中のアイザック・イマニュエル氏の、動きとダンスの研究―特に身体の変容および空間と身体の関係性の探求から成っており、この問題を探るため、彼は「野口体操」における「重さ」(引力)の意義も追究している。野口三千三による「地球上のすべての存在の、共通の、そして究極の“ふるさと"は地球の中心である」という言葉は、場の感覚と身体の動きの根本的な理解に役立っている。

■伝統文化シリーズ⑨/廣瀬量平作品連続演奏会Ⅰ
邦楽器への激(たぎ)る想いを次世代に

  • 2010年11月24日(水)7:00 pm(プレトーク6:30 pm) 岩崎小彌太記念ホール
  • 出演: 遠藤千晶(箏)、帯名久仁子(箏)、河原抄子(十七絃)、毛塚珠子(箏)、小宮瑞代(箏)、
         善養寺惠介(尺八)、久松彩子(歌・箏)、藤原道山(尺八)
  • 演目: プレトーク「廣瀬量平と尺八」(田村拓男)、「いざよい」、「瓔」、「アキ」、「額田王による前奏曲
         と三つの歌」、「鶴林」、「まきむく」
  • 会費: 3,500円(会員・学生・外国人3,000円)
  • 用語: 日本語/英語
  • 共催: 廣瀬 量平作品連続演奏会実行委員会

今回の伝統文化シリーズでは、昭和、平成を通じて国際的に活躍した、日本を代表する作曲家、廣瀬量平(1930-2008)の作品連続演奏会の第一回目をとりあげます。
60年代後半、空前の尺八ブームの渦中にいた作曲家廣瀬量平は、生涯に尺八、箏、一七絃、二十五絃箏などの作品を40曲近く残しました。管弦楽、室内楽、合唱曲など、多岐にわたる作曲活動を通じて、日本の音の原像を、彼の音楽観の根底に潜む汎アジア的宇宙観のなかで醸成させようとしていたのです。その想いは、伝統楽器を前にしてさらに熱く、その「激る想い」は、終生変わることがありませんでした。
今回のコンサートは、この想いをこめて次世代へ廣瀬氏の作品を伝承するため、彼が模索した作曲の軌跡をたどりつつ、新たな創作と演奏活動への展望を探ろうとするものです。

■IHJアーティスト・フォーラム■
建築の周辺で:ロバート・ハッチソンが語る建築とアートの境界線上にある作品

  • 2010年10月7日(木)7:00 pm 国際文化会館 講堂
  • 入場: 無料(要予約)
  • 言語: 日本語/英語
  • 共催: 日米友好基金

ロバート・ハッチソンは建築家でワシントンのシアトルにあるハッチソン&モールの代表者です。ハッチソンは現在日米友好基金の「日米芸術家交換プログラム」で5カ月間日本に滞在しています。滞在中は、建築とアートの双方の領域を横断する建築家やアーティストをリサーチしています。このプロジェクトは将来的には、インタビューや写真や映像にフォーカスした彼自身の「周辺プロジェクト」を含める形で、出版される予定です。
ハッチソンは建築の範疇からは逸脱した建築家の作品に強い関心をもっています。彼の建築事務所、ハッチソン&モールでは、これまで建築作品としては周辺的なプロジェクトをたくさん行ってきました。今回のアーティスト・フォーラムでは、彼の事務所での仕事の概観をお見せします。また、日本での滞在期間に進行中の日本人建築家やアーティスト達のリサーチの概要もお話しいたします。

Hole House #1Artisan Grain Silo Interior Japan Fluorescent Light Pole Series Ise-shi


写真(左から)
・Hole House #1 (2004), Project executed by Hutchison & Maul Architecture
・Artisan Barn Grain Silo Interior, Uniontown, Washington (Photograph by Robert Hutchison)
・Japan Fluorescent Light Pole Series, Ise-shi (2010),(Photograph by Robert Hutchison)

■IHJアーティスト・フォーラム■
大量のカラス
ジョン・ハプタス&クリスティン・サミュエルソン

  • 2010年7月9日(金)7:00 pm 国際文化会館 講堂
  • 入場: 無料(要予約)
  • 言語: 日本語/英語(逐次通訳つき)
  • 共催: 日米友好基金

「日米芸術家交換プログラム」で来日中のジョン・ハプタスとクリスティン・サミュエルソンは、共同でドキュメンタリー・エッセイを撮影している映画監督です。前回日本を訪れた際、東京の都市環境の中で多くのカラスが生息していることに感銘を受けました。調査を続けるうちに、カラスと人が東京で共生する姿は、日本の社会のことや我々自身について多くを教えてくれることに気付きました。今回のフォーラムでは、これまでの作品や現在制作中の作品の一部を上映しながら、このドキュメンタリー・エッセイのコンセプトをお話しします。『大量のカラス(An Abundance of Crows)』には仏教の僧侶から鳥類学者、ホームレス・アクティビストまで、様々な人々へのインタビューが盛り込まれています。

Kristine SamuelsonJohn Haptasジョン・ハプタス & クリスティン・サミュエルソン:サンダンス、サンフランシスコ、ロンドン、リオ、ベオグラード、インド、ドイツ、韓国など、世界の映画祭で作品が上映され、受賞多数。公共放送サービス(PBS)やケーブルテレビ、ニューヨークMOMAでの放送もある。

■IHJアーティスト・フォーラム■
音楽のあるコトバ ―二人のアメリカ人詩人による朗読会と尺八の演奏

  • 2010年5月17日(月)7:00 pm 国際文化会館 図書室
  • 出演: サム・ハミル、リザ・ローヴィッツ、クリストファー遙盟(尺八)
  • 入場: 無料(要予約)
  • 言語: 英語・日本語(作品の朗読は英語のみ。原文テキストを配布)
  • 共催: 日米友好基金

詩人サム・ハミル氏はアメリカ西部育ちですが、その世界観は、中国や日本の古典的な詩人の影響を受けています。氏の詩はその二つの伝統を汲み、仙人のような謙遜と畏敬の念を表現しています。その際立った文体は精錬され、音楽性にあふれています。ハミル氏は1988年に「日米芸術家交換プログラム」で初めて来日して以来、この22年の間に、アメリカの詩の世界において大きな影響力を持つようになりました。

10年以上日本に住んでいるアメリカ人詩人で、作家のリザ・ローヴィッツ氏の詩は、抒情豊かで、しばしば驚くほど赤裸々です。彼女の詩には長年のヨガと禅の研究が反映され、その言葉は開かれた心で人として生きることの意味を問いかけています。また、ローヴィッツ氏が共訳した作品は、個人的な目線から日米関係を洞察しているものが多く、例えば、文学や芸術、社会における変わりゆく日本女性の役割、あるいは戦争の影響と現代日本における和解への願望などです。

38年間日本に住み、邦楽と日本の「音」を追求してきた尺八奏者クリストファー遙盟は、今回二人の詩人を「伴奏」します。詩人、ダンサーや画家、他の音楽家たちとコラボレーションの経験豊富な彼の今回の役割は、音楽を投げかけ、朗読された「コトバ」から音楽を引き出すことです。
 この三人のアーティストと共に、音楽へと向かう詩の朗読をお楽しみください。

■IHJアーティスト・フォーラム■
動く音:文化の糸をつなぐ ―ジェーン・リグラーと仲間たちによるコンサート―

  • 2010年4月6日(火)7:00 pm 国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
  • 出演:ジェーン・リグラー(フルート)、水嶋一江・篠原元子・KIKU(ストリングラフィ)、石川高(笙)、
        中村仁美(篳篥)

    Jane Rigler 水嶋一江 石川高 中村仁美

  • 入場: 無料(要予約)
  • 言語: 日本語/英語
  • 共催: 日米友好基金

フルート奏者で作曲家のリグラー氏は、昨年11月に日米友好基金と全米芸術基金共催の「日米芸術家交換プログラム」で来日し、能や合気道、仏教を学び、日本の伝統的な音や動き、精神世界について理解を深めています。今回のコンサートでは、“ストリングラフィ”という絹糸を空間に張りめぐらすアンサンブルや二人の雅楽奏者と構成即興し、時間と空間の絶妙な関係を探求します。観客は舞台空間を注意深く歩くことができますが、正確にゆっくりと歩けば、その動きを通して自分だけの音の空間を体験できるかもしれません。