2009年度IHJ芸術プログラム アートプログラム・コンサート

■IHJ伝統文化シリーズ Vol.8■
日本列島が歌う:民謡の夕べ

  • 日時: 2010年3月26日(金) 7:00 pm 岩崎小彌太記念ホール
  • 出演: 高橋祐次郎(津軽三味線)、佃一生(尺八)、成田武士(歌)、須藤圭子(歌)、高橋祐貴恵(太鼓)、他
  • 演目: 『津軽じょんがら節』、『江差追分』、『八木節』、『安里屋ユンタ』他
  • 会費: 3,500円(外国人・学生:3,000円、割引料金*:3000円)*割引料金は国際文化会館会員の方に適用されます。
  • 用語: 日本語・英語

高橋裕次郎

日本には北海道から沖縄まで、全国津々浦々に豊饒な民謡の伝統が伝えられています。古来より、これらの音楽は人々の生活に密接に結びつき、毎日の生活や労働、神とのつながり、自然への思い、親子や夫婦なおどの人間関係を語り継いできました。 独唱の形式をとるものもあれば、エネルギッシュな三味線、尺八または太鼓の伴奏がつくものもあります。
民謡は、元々は共同体の共通体験の一部として、地元住民によって伝承されてきましたが、古い伝統と生活様式が消えつつある現在では、プロの民謡歌手や保存グループによって守られています。
今回のコンサートでは、民謡と津軽三味線の名手である、高橋祐次郎率いる日本を代表する民謡歌手たちが、各地の民謡を披露いたします。
高橋祐貴恵 須藤圭子 成田武士 佃一生
高橋祐貴恵 須藤圭子 成田武士 佃一生

■アーティスト・フォーラム■
「場」の感覚を創りだす
ミシェル・コン

  • 日時: 2010年1月29日(金) 7:00 pm  国際文化会館 講堂
  • 入場: 無料
  • 言語: 英語・日本語

「場」の概念には、人間の尺度がつねに作用しており、それが「場」を単なる景観や空間と区別しています。後者は物理的な世界との出会いと言えますが、「場」の感覚は、繰り返される出会いや、複雑な関連、関係によってもたらされる思い出や愛着を通して構成されます。 経験的な文脈で言えば、「場」は起源であり、人間関係や出自、帰属意識を構築します。私たちは居場所を変えたり、移動したりしますが、結局は「場」の感覚を探し求めるのです。

現在『日米芸術家交換プログラム』で来日中のヴィジュアル・アーティスト、ミシェル・コンは、日本の神社仏閣や庭園、建築を伝統と現代の両面からリサーチしています。今回のフォーラムでは、過去の大規模な彫刻作品から、「場」と呼応する一時的な野外作品への変遷をたどり、最後に最新のビデオ作品を紹介します。

Quicksilver 2009 Tessella 2007
Reticula 2006 Escape 2007

■IHJ アーティスト・フォーラム■
危機言語が紡ぐ音楽性: 言葉から創る音楽

  • 日時: 2009年12月11日(金) 7:00 pm  国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
  • 講師: ケヴィン・ジェイムズ
  • 出演: ケヴィン・ジェイムズ(トロンボーン、ジディリドゥ)、ジェイン・リグラー(フルート、日米芸術家交換プログラム・フェロー)、マルコス・フェルナンデス(パーカッション)、mori-shige (チェロ)、他
  • 入場: 無料(要予約)
  • 言語: 英語・日本語
  • 共催: 日米友好基金

「日米芸術家交換プログラム」で来日中の作曲家ケヴィン・ジェイムズ氏が、現在取り組んでいる言語プロジェクトより、3作品の途中経過をご紹介いたします。このプロジェクトでジェイムズ氏は、危機に瀕した世界の言語の、最後の話者たちの声を採録し、楽器の生演奏との相互作用をみせています。また調性やリズム、音調、アーティキュレーション、観客と演奏の関係性に対する新しいアプローチを探究しています。今回のアーティスト・フォーラムでは、このプロジェクトに至ったインスピレーションや、それぞれの作品の創作過程などについてもお話しいただきます。なお、ご紹介する3作品では、アメリカ先住民族のキリュート(Quileute)語、オーストラリアのアボリジニのダラボン(Dalabon)語、日本の先住民族のアイヌ語が取り上げられています。

■IHJ伝統文化シリーズ⑦ ワークショップ・コンサート■
能の謡と仕舞:幽玄の世界を垣間見る

  • 日時: 2009年10月23日(金) 7:00 pm  国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
  • 出演: リチャード・エマート(武蔵野大学教授)、松井彬(喜多流能楽師)、釜三夫(大鼓)、ジェームズ・ファーナー(小鼓)、滝沢成実(能管)
  • 入場: 3,500円(会員・外国人・学生:3,000円)
  • 言語: 英語・日本語

英語能や外国人のための能楽教育などに意欲的に取り組み、能の国際的な普及に多大な貢献をしている、アメリカ人能楽研究者の第一人者で喜多流仕舞教士のリチャード・エマート氏と、喜多流能楽師の松井彬氏のお二人を招き、お囃子、仕舞、謡、能面、および作品の構造的な成り立ちなど、能楽を多様な角度から理解するワークショップ・コンサートを開催いたします。さまざまな作品から仕舞や作品の抜粋を披露し、能楽における基本的な音楽パターンも、実践を交えて解説していただきます。

 

■IHJ伝統文化シリーズとは■

本シリーズは英語と日本語のわかりやすい解説を交えて、外国人と普段邦楽に触れる機会の少ない日本人にむけて、一流の演奏家を招いて日本の伝統音楽のコンサートを紹介するシリーズです。

 

■出演者プロフィール■

リチャード・エマート

リチャード・エマート1973年より能の実技を学び始める。仕舞や謡、楽器の演奏など、能楽における表現のあらゆる局面を学び、喜多流仕舞教士免許を取得。能についての著述は、日本語と英語の双方で多数ある。また、武蔵野大学ではアジア演劇と音楽を教えている。英語で能を上演するシアター能楽の創立者および、ディレクターであり、12月には、ロンドン、オックスフォード、ダブリン、パリで新作英語能『PAGODA』を上演する予定である。2003年には、クアラルンプールのテアトル・カタヤで、アジアの伝統芸能のパフォーマー達が出演する『Siddhartha』を演出した。

 

松井彬

松井彬喜多流能楽師。1946年和歌山県生まれ。7歳で能の稽古を始める。約25年間、海外に能を紹介する活動を続けている。インド、オーストラリア、ドイツ、英国など様々な国で、俳優をめざす学生に能を指導してきた。また米国とカナダでは大学や劇場で、能のマスタークラスも教えている。松井は確固とした伝統の基礎にもとづき、様々な文化の融合を試みている。京都ではNOHO(能法)劇団によるシャイクスピア、イエーツ、ベケット作品に参加し、『羅生門』や『芳一』の脚色も担当している。また、アメリカ人能楽研究者のリチャード・エマートとともに『聖フランシス』、『鷹の井』、『エライザ』などを創作した。最近では演劇人類学を提唱する著名な演出家、ユージェニオ・バルバによる大規模なコラボレーション・プロジェクトである『Ur-Hamlet』に参加し、デンマークのハムレット城で演じた。1998年には、日本政府より重要無形文化財総合保持者に認定されている。

■IHJ アーティスト・フォーラム■ 
移動する作家:パトリシア・チャオによる『New World』のリーディングとトーク

  • 日時: 2009年6月24日(金) 開場6:45 pm 図書室
  • 会費: 無料
  • 用語: 日本語・英語(作品の朗読は英語で行い、原文テキストも配布いたします。質疑応答には日本語逐次通訳がつきます。)
  • 共催: 日米友好基金

パトリシア・チャオ現在、「日米芸術家交換プログラム」で来日中の米国人作家、パトリシア・チャオが自作品のリーディングを行います。パトリシアは、日本人の祖母をモデルにした小説『New World(新世界)』執筆のために日本に滞在中です。今回のリーディングでは、その新作からの抜粋を朗読します。また同プログラム」で来日し、先月、登山中に遭難したクレイグ・アーノルドの近作から、いくつかの詩を朗読いたします。

『New World(新世界)』あらすじ:サマンサ・サカモト・スタインは母の死後、母の書類の中からシシ・ダ・プライアというブラジル人から届いた、血縁の証拠を示す奇妙な手紙を発見した。シシに会うために、サマンサはニューヨークからサンパウロまで旅行するが、そこで8年前に起こったシシの母親の失踪というもう一つの謎に遭遇する。シシとサマンサは協力して謎を追うが、しだいに二つの謎が互いに絡み合っていることに気付く。謎を追って二人は東京、そしてある田舎町にたどりつく。