【本講演の編集を施したテキストが、国際文化会館会報 Vol.20, No.1, 2009に掲載されています。】
- 講師: T. J. ペンペル(カリフォルニア大学バークレー校 東アジア研究所 所長 )
- 司会: 山影進(東京大学大学院総合文化研究科教授)
- 日時: 2008年10月17日(金) 7:00 pm
- 会場: 国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
- 会費: 1,500円(学生1,000円、割引料金*無料)
- 用語: 日本語/英語(同時通訳付き)
戦後日本の政策立案者は、ワシントン(米国政府)の意向やその刻々と変わるプライオリティに絶えず目を注ぎながら、国の外交政策を構築してきました。軍事関係を重視するブッシュ政権下の米国にとって、それを強めるため数多くの政策をシフトさせた小泉政権は歓迎すべきパートナーでした。一方、アジアに目を向けると、その地理的な近さに加え、日本の隣国による安全保障上の脅威と経済的潜在力により、その存在が日本の政策立案に影響を増しつつあります。21世紀の最初の5年間の対中国および韓国との良好でなかった二国間関係は、両国首脳レベルによる訪問とアジアの地域主義に対する相互認識の高まりにより、近年友好ムードにとって代わりました。ではこういった中で、日欧関係はどのような方向に進むのでしょうか? 戦後期の大半において、政府も民間も互いを注視することはありませんでしたが、関係を密にすることによる潜在的なプラス面を認識することで、その繋がりは遅ればせながらも強まってきています。本講演では、アジア、欧州、米国とのしばしば競合する関係のバランスをとる上で、現在日本が直面している、払わなければいけない代価などを中心に、日本の外交政策について論じていただきます。
略歴:T. J. ペンペル
コロンビア大学で博士号(Ph.D.)を取得後、コーネル大学東アジア研究プログラム所長、ワシントン大学などを経て、現職。研究の主なフォーカスは、比較政治学、現代日本、アジア地域主義。米国の外交政策とアジアの地域主義に関連する研究に携る一方で、米国政治学会、米国社会科学研究評議会(SSRC)、アジア研究協会などの学術交流を通じさまざまな国際的な政策志向研究プロジェクトを推進しています。主な編著書に、Remapping East Asia: The Construction of a Region (Cornell University Press, 2004), Beyond Bilateralism: U.S.-Japan Relations in the New Asia-Pacific (Stanford University Press, 2003), Uncommon Democracies: The One-Party Dominant Regimes (Cornell University Press, 1990)などがあります。