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- 日時: 2019年10月29日(火)6:00-8:00 pm (開場 5:30 pm)
※終了後に懇親会を開催します(~9:00 pm)。 - 会場: 国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
- スピーカー
第1部「日本における同性婚」
パネリスト:
大井川 和彦(茨城県知事)
杉山 文野(株式会社ニューキャンバス 代表取締役)
モデレーター:土井 香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ 日本代表)第2部「アジアにおける同性婚」
基調講演者:ルオン・テ・フイ(iSEE Institute ディレクター / ベトナム)
パネリスト:
杉山 文野(株式会社ニューキャンバス 代表取締役)
ジョイス・テン(台湾婚姻平等連盟 副コーディネーター兼ロビイング・マネージャー)
モデレーター:菅 大介(株式会社チェリオコーポレーション 専務取締役)特別ゲスト
キャロライン・ケネディ(アジア・ソサエティ理事、元駐日アメリカ大使)
総合司会
別府 理佳子(スクワイヤ外国法共同事業法律事務所 パートナー) - 共催: アジア・ソサエティ・ジャパンセンター
- 助成: MRAハウス、米日財団
- 用語: 英語/日本語 (同時通訳付き)
- 参加費: 3,000円(国際文化会館会員・学生: 1,500円)※終了後の懇親会含む
- 定員:200名
レポート
10月29日、アジア・ソサエティ ジャパンセンターとの共催で行われた「LGBTインクルーシブな未来を目指して―変わるアジアと日本」。日本、そしてアジアから、LGBTをめぐる問題に様々な立場で取り組むリーダーたちが集まり、同性婚を中心としたLGBTの権利をテーマに議論した。
●開会挨拶
(キャロライン・ケネディ/元駐日アメリカ大使)
アメリカのゲイ・プライド運動の発端となった「ストーンウォールの反乱」から今年で50年となることにふれ、「努力を重ねて前進してきた歴史こそが、市民ひとりひとりが世界を変える力を持っていることを教えてくれている」と、よりよい世界を目指して努力を続ける大切さを訴えた。
●第1部:日本における同性婚
(大井川和彦/茨城県知事、杉山文野/株式会社ニューキャンバス 代表取締役
モデレーター:土井香苗/ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
ことしの夏、都道府県として初めてLGBTパートナー制度「いばらきパートナーシップ宣誓制度」を導入した茨城県の大井川知事は、導入の理由と実現までの苦労、そして現在はさまざまな現場で制度が活用されていることなどを語り「理解がないから制度ができないではなく、制度を作ることで理解が進むこともある」と、為政者が果たすべき役割について語った。また自らもトランスジェンダーで、2015年に渋谷区で日本初となる同性パートナーシップ条例制定にも携わった杉山氏は、「反対している人たちの漠然とした不安は丁寧な説明で解消できる」と語り、社会、とくにリーダーがLGBTへの理解を深めることの重要性を強調した。
●基調講演
(ルオン・テ・フイ/iSEE Instituteディレクター)
ベトナムの人権活動家ルオン・テ・フイ氏が、同国のLGBT権利運動が本格化したのは2000年代以降でありながら、すでに法改正による同性婚禁止規定の撤廃や、人々の意識の高まりなどの変化が起きていることを語った。
●第2部:アジアにおける同性婚
(ルオン・テ・フイ/iSEE Instituteディレクター、杉山文野/株式会社ニューキャンバス代表取締役、ジョイス・テン/台湾婚姻平等連盟 副コーディネーター兼ロビイング・マネージャー
モデレーター:菅大介/株式会社チェリオコーポレーション 専務取締役)
基調講演者のルオン氏に、台湾の同性婚合法化に携わったジョイス・テン氏、杉山氏も加わって各国の現状を共有。同性婚と両輪をなす課題としてトランスジェンダーの権利も話題にのぼり、LGBTをめぐる課題の複雑さが浮き彫りになった。最後に参加者へのメッセージを求められると、「結婚をはじめ、LGBTの当事者たちが求めている権利は特別なものでも新しいものでもない。すべての人に当たり前に与えられる権利を保障してほしいだけ」という言葉が。さらに「立場が違っても協力できることを示すため、いろいろな人が参加することが大切」「マイノリティの集まりがマジョリティであり、マイノリティにやさしい社会はみんなにやさしい社会のはずだ」と、すべての人ができることから小さな一歩を踏み出すことが大切だと呼びかけた。
開会挨拶(英語のみ)
第2部「アジアにおける同性婚」(日英混合 ※字幕なし)
2008年、LGBTI*の権利に関するアドボカシー活動にボランティアとして初めて参加。2011年にLGBTI人権運動に正式に加わり、メディア、教育現場、保健センターへの対応を通じて性的少数者コミュニティの権利獲得やキャパシティ強化に携わる。フォーブス誌ベトナム版の「30アンダー30」(さまざまな分野で活躍する30歳未満の若手30人)に選出。カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて法とセクシュアリティを専門に学び、法学修士を取得。人権と市民社会運動に取り組むベトナムのNGO「iSEE Institute」のディレクターを務める。アジア・ソサエティのアジア21ヤング・リーダーズ・イニシアチブ2018年度フェロー。
*LGBTI: レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックスの頭文字をとったもの。
早稲田大学大学院にてセクシュアリティを中心に研究。卒業後、2年間のバックパッカー生活で50以上の国々や南極をめぐり、現地でさまざまな社会問題と向き合う。2015年から渋谷区男女平等・多様性社会推進会議委員を務め、日本初となる同性パートナーシップ条例の制定にも携わった。性同一性障害と診断された自身の体験を織り交ぜた『ダブルハッピネス』(講談社、2006年)は韓国語に翻訳されたほか、コミックとしても出版された。フェンシング元女子日本代表。
国立台湾大学にて法学修士を取得。2013~15年には台湾の立法院(国会に相当)で立法補佐官を務め、2016年からは同性婚法の成立に尽力。台湾の最高司法機関である大法官会議のために14の異なる専門資格業団体から取りまとめた意見書は、「同性同士の婚姻を制限してきた現行民法の規定は憲法違反」とする大法官解釈に引用されるに至った。2018年の反LGBT国民投票キャンペーン後は、完全なる同性間の結婚に対する議員の支持獲得のためのロビー活動を実施。現職ではロビイングのほか、法律や政策に関するリサーチも担当している。
日本における多様性豊かな社会づくりの推進に力を入れる。家業のチェリオコーポレーションは、2014年から6年連続で東京レインボープライドパレードのトップスポンサーを務めるなどLGBTの権利推進に貢献している。アジア・ソサエティのジャパンセンター設立メンバー。米日財団スコットM・ジョンソンフェロー、SKYLABOシニアアドバイザー、E-Labディレクターとしても活動する。東京大学卒(ハワイ先住民族研究)。スタンフォード大学にてMBAを取得。アジア・ソサエティのアジア21ヤング・リーダーズ・イニシアチブ2011年度フェロー。
1964年茨城県生まれ。1988年、東京大学法学部を卒業後、通商産業省(当時)に入省。初代シンガポール事務所長などを務める。経済産業省を退官後、マイクロソフト常務、シスコシステムズ専務、ドワンゴ取締役を歴任。2017年、「新しい茨城」を公約に掲げ、茨城県知事選挙に初当選。現在1期目。本年7月には、都道府県では初となる「いばらきパートナーシップ宣誓制度」を導入。
日本の国内および外交政策の中で、人権が優先課題となるよう日本政府に働きかけを行う。2006年にニューヨーク大学ロースクール修士課程(国際法)を修了し、2007 年からニューヨーク州弁護士。国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチでは、2006年にニューヨーク本部のフェローとして活動し、2008年から現職。2011 年に世界経済フォーラム(通称「ダボス会議」)のヤング・グローバル・リーダーズの一人に選出された。著書に『巻き込む力 すべての人の尊厳が守られる世界に向けて』(小学館、2011 年)など。アジア・ソサエティのアジア21ヤング・リーダーズ・イニシアチブ2008年度フェロー。
2013年11月、女性初の駐日アメリカ大使に着任。2017年1月の退任まで、女性の経済的エンパワーメントや日米の青少年交流促進に力を注ぐ。弁護士として活動しつつ、法律や市民権、詩などをテーマにした著書を多数出版している。また、2002~13年にかけてニューヨーク市の学校改革に積極的に取り組む。ジョン・F・ケネディ図書館財団の名誉理事長、ハーバード大学政治研究所上級諮問委員会の名誉会長、ボーイング社取締役、アジア・ソサエティ理事、米日財団理事、国際救済委員会理事などを兼任している。
企業のクロス・ボーダーM&A案件を専門に活動。上智大学外国語学部を卒業後渡英し、1994年にイングランド・アンド・ウェールズ事務弁護士資格を取得。ロンドン、香港、東京にて法律実務に従事し、2017年より現職。European Business Councilの法律サービス委員会委員長、Women in Law Japan初代プレジデント、LGBTとアライのための法律家ネットワーク理事、アジア・ソサエティー・ジャパンセンターの設立メンバー及び監事。アジア・ソサエティのアジア21ヤング・リーダー・イニシアチブ2017年度フェロー及びAsia 21 Japan支部リーダー。
アジア・パシフィック・ヤング・リーダーズ・プログラム(APYLP)は、アジア太平洋地域の未来を担うさまざまなリーダーシップ・プログラムを繋ぎ継続的な研鑚の機会を提供することで、フェローたちがプログラムの垣根を越えて新たな取り組みを生み出すことを目指すものです。