国際文化会館に長年勤務されました元常務理事 加藤幹雄氏の著作『文化交流は人に始まり、人に終わる : 私の国際文化会館物語』を図書室の入口にて紹介しています。
こちらの書籍は読売新聞の書評欄においても紹介されました。
著者の加藤幹雄氏は、1959年に最初の公募採用で国際文化会館に就職し、その後企画部長や常務理事、常任参与などを歴任しながら、半世紀以上にわたって国際文化会館のさまざまな事業に深く関わってこられました。2000年以降は会館の歴史をまとめる作業に取り組まれ、国際文化会館の50年史(2002年)や英文の55年史(2012年)、さらに大きな視点で『ロックフェラー家と日本:日米交流をつむいだ人々』(2015年)を著しています。
一方、国際文化交流における長年の貢献に対し、1993年に外務大臣表彰を、さらに2003年には国際交流基金国際交流奨励賞を受賞されています。まさに、Mr. International House と呼べるような存在でした。
本書は加藤氏が「はじめに」でも触れている通り、上記のいわゆる「正史」にとらわれず、個人的な情感やエピソードをふんだんに盛り込んで書かれた私的な手記といえます。国際文化会館への就職にまつわる話から始まり、会館の職場環境、米国留学と研修、そして会館で関わった様々な事業についての物語が、個人的な経験や思いも含めて語られています。
この著作を通じて感じられるのは、国際文化交流を裏方として支えることの苦労や喜びであり、また、本のタイトルにあるように、国際文化交流とは突き詰めると「人と人との出会い」だということです。そのことを大切にするときにどんなに素晴らしいことが起こりうるかを、著者自身が身をもって示されています。
巻末に付録として、著者が国際交流基金国際交流奨励賞を受賞した際のスピーチ原稿が掲載されていますが、そこには著者の思いが凝縮されているように思えてなりません。
国際文化交流に関わる方々はもちろん、それ以外の多くの方々にとっても示唆に富んだ著作と言えるでしょう。
文化交流は人に始まり、人に終わる : 私の国際文化会館物語 / 加藤幹雄著
新聞通信調査会, 2021.3
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- 展示期間: 2021年6月19日(金)~7月31日(土)
- 展示場所: 国際文化会館 図書室