The Sino-Japanese War and the Birth of Japanese Nationalism By Saya Makito (Professor, Keisen University)
佐谷真木人 著 (David Noble 訳)
佐谷真木人 著 (David Noble 訳)
2011年/210ページ/ハードカバー
ISBN 978-4-903452-20-3
原著:佐谷真木人著『日清戦争:「国民」の誕生』(講談社、2009年刊)
定価 2,000円(1,905円+税)/優待価格*1,400円(税込)
*優待価格は国際文化会館会員の方に適用されます。
日清戦争(1894~95)は近代日本の進む方向を決定づけた歴史的事件であった。……この戦争によって日本の国内では、政治意識の上で大きな変化がもたらされ、それによって国民国家というシステムが形成された。本書は、そのプロセスを、主にメディアの変容とそれに伴う日本人の行動から分析したものである。……この歴史的事件は、アジア全体に波及し、結果として国際秩序を再編成していく起爆力となった。日本のナショナリズムはアジア諸地域に影響を与え、今日のような国民国家の集合が形成されることになった。
——佐谷真木人、本書 Preface to the English editionより
本書 Foreword より
日清戦争(1894~95)は東アジアにおける中国の中心性を奪っただけではない。それは他方で、従来は大洋中の日本列島のみに生息していた日本人が、台湾をはじめ、その外部に植民地を獲得し、新たな帝国に変身するきっかけにもなった。……それは従来の国内秩序をあらため、対等な権利を持つ「国民」を作り出そうとする運動も伴った。中国を中心とした東アジアの国際秩序の崩壊とともに、周辺国にナショナリズムが生まれ、それが民主化への改革も促進したのである。……しかし、その日本自体でナショナリズムが庶民にまで浸透したのは、実は日清戦争の最中であった。本書は、日本社会が愛国主義の熱狂に巻き込まれてゆくさまを、戦争報道競争・演劇・祝捷行事・子供の遊戯・小学校教科書・モニュメントの建設などの分析を通じて活写している。——三谷博 東京大学教授