- 講師: ジェフリー・W・アレクサンダー ウィスコンシン大学(パークサイド校)准教授
- 司会: 藤本 隆宏(東京大学大学院経済学研究科教授)
- 日時: 2011年7月5日(火) 7:00 – 8:30 pm
- 会場: 国際文化会館 講堂
- 会費: 無料(要予約)
- 用語: 英語(通訳なし)
これまで戦後日本の経済成長と産業政策は、通産省(MITI;現・経済産業省)や成功を収めた企業に焦点を当てて研究されることが主流でした。この側面からの研究が世界中のMBAプログラムの文献に色濃く反映され、こうした成功物語に惹きつけられることによって、一方向の勝ち組の歴史のみが突出することとなりました。
しかし、ホンダ、ヤマハ、スズキやカワサキなどの大手メーカーによって廃業に追い込まれたオートバイメーカーは200以上あり、それらのいくつかを率いた起業家の証言からは、戦後日本の産業界が、文献で書かれているよりも複雑で、組織化され、厳しい競争にさらされていたことがうかがえます。熾烈な価格戦争、紳士協定の破綻、産業主導の過酷な競争により1970年までに多数のメーカーが廃業を余儀なくされました。日本の自動車産業部門を国際市場の中で競争させる通産省の試みは、その後考え出されたに過ぎないのです。本講演では、戦後日本のオートバイ業界の成功の裏にあるもう一つの物語について、アレクサンダー氏に論じていただきます。
略歴:ジェフリー・W・アレクサンダー
ブリテッシュ・コロンビア大学にて博士号取得。日本の製造業の変遷を通じた歴史研究に取り組んでおり、主な著書に、Japan’s Motorcycle Wars: An Industry History (UBC Press & University of Hawai’i Press, 2008)など。現在、日本のビール産業に関する本を執筆中。