著者は、現代の生活環境を形づくる直接の源流であったモダニズム建築の文化が1940~50年代の日本においてどのように展開されていったのか、すなわち、「その建築がどのような時代の課題を引き受け、どのような方法を提示したのか」を、設計者の残した言葉を手がかりに、日本各所のモダニズム建築を訪れ、読み解いています。
国際文化会館については、1950年に建築資材統制が解除された中で、戦前からモダニズム建築の思想を学んでいた建築家、前川國男、坂倉準三、吉村順三の「各人の努力が集中された」からこそ、「独自の調和ある日本的な美しい表現」が成し遂げられたのだろう、と述べています。
各所のモダニズム建築が、解体されたり、外観を残しつつも全く別の建物として再生されたりする中で、「それから約60年、関係者の努力で今も同じ空間がそこにあることの意味をわすれずにいたい」という筆者の言葉が、創立70周年を迎えたいま、一層の重みをもって感じられます。
日本の戦前期・戦後1940〜50年代の建築 / 松隈洋著
六耀社, 2016.10
[日本語棚||500]
出版社による紹介:
http://www.rikuyosha.co.jp/products/detail4462/
- 展示期間: 2022年12月1日(木)~12月28日(水)
- 展示場所: 国際文化会館 図書室